Qtが4.5からLGPLでも配布

C++によるGUIツールキットであるQtのライセンス形態にLGPLが追加される

Qtは今までコマーシャルライセンスとGPLのデュアルライセンスで、商用利用の際にはコマーシャルライセンス(有料。結構高い)を取得しなければならなかったのだが、Qt4.5からはLGPLも加えたトリプル?ライセンスになるので、静的なリンクを行うプログラムはソースコード非公開で無料で利用できるようになる模様。


なぜこんなことをするかというと多分trolltech(Qtの開発元)を買収したノキアは携帯電話のOSの値段を下げたいから。
もしデスクトップPCのように携帯電話のOSがWindowsMobileかなんかに寡占されてしまうと、ノキア的には非常にうれしくないんだろう。

補完財の値段が下がるとき、その製品への需要は増える

なぜなら、携帯電話のOSは携帯電話デバイスの補完財にあたるからだ。
逆に、昔からマイクロソフトはデバイス自体の価格を安くする方に戦略の中心を置いているように見える。
*1
ただ、この勝負はマイクロソフトにとって本質的に分が悪い。本質的にソフトウェアの量産の方がハードウェアの量産より安価にすむから。
そして、ソフトウェアの価格をとるために専用のライセンスサーバを構築・運用しなければならない、とかいうある意味非常に本末転倒な話になる。
よく「別にウィンドウズが使いたいんじゃないんだよ!エクセルが使いたいんだよ!」とか言うヒトがいるけど、本当は彼は良質な表計算ソフトを使いたいはずなのだ。


いま、個人用計算機はソフトウェアを一社が占有し、ハードウェアをたくさんの会社が共通の規格で作成している。
多分、10年か20年でそういうスタイルは変わるんじゃないかな、っていうかむしろ変わらざるを得ないんじゃないかな、と思っている。
あの世界不況だってオープンソースから見ると追い風にすらなり得るはずなんだ。
コンピュータ買うときに一番高い部品がOS、っていうのは本来、そーいうときに一番削りたくなると思うんだけど。

*1:OSの補完財として他のアプリケーションの値段を下げるような活動も見られる。ブラウザとか。…本来はOS自体がアプリケーションの補完財にあたりそうだけど。だから本当の本丸はオフィスなのかもしれない